黒(くろ)
●黒(くろ)・純黒(じゅんこく)・漆黒(しっこく)
黒が、高級でシックな色として評価されるようになったのは、色に関する制約やタブーが忘れられ、過去の意味が消滅した現代からであろう。墨蹟や水墨画のように、黒の美しさは、昔から日本では理解されていたことも事実である。
日本人の髪の黒さは、黒ければ黒いほど美しいとされ、みずみずしい艶のある髪の毛は、みどりの黒髪と形容され、賞賛されている。漆塗りの黒色も伝統文化の中で選びぬかれた色の一つで、朱、赤とともに黒塗りの漆の色は漆器の最上になっている。この黒色の漆に混入している黒の色は半永久的な濡れ色の黒であり、真の黒という意味で純黒ともいうが、一般には漆黒と呼ばれている。真の闇夜を漆黒というように、黒漆以上に深い黒を探すことはできない。