黒革の手帖

松本清張の黒革の手帖がドラマや舞台で上演され、人気出ている。
そのロケ地が面白い。

出版
新潮文庫
黒革の手帖(上)
黒革の手帖(下)

テレビドラマ
1982年版
テレビ朝日系で放映された。(全6回)
放映期間1982年1月4日~2月8日
原口元子:山本陽子

1984年版
TBS系の花王 愛の劇場枠で放映された。(全40回)
放映期間1984年1月5日~2月24日
原口元子:大谷直子

1996年版
テレビ朝日系の土曜ワイド劇場枠で放映された。
放映日1996年12月7日
原口元子:浅野ゆう子
平幹二朗  美木良介
田中美奈子 ケーシー高峰
山口果林  秋本奈緒美
藤田敏八  石丸謙二郎
不破万作  葉山レイコ
加納みゆき

2004年版
テレビ朝日系の(テレビ朝日開局45周年企画)テレビ朝日木曜ドラマ枠で放送された(全7回)。
この2004年版は米倉涼子、釈由美子ら個性的なタレントも多数出演している。
なお、10月21日に放送される予定だった第2回の放送分は、プロ野球日本選手権シリーズ(西武×中日)の中継が「報道STATION」の放送時間帯まで食い込んでしまい、次の週に順延されたが、
この措置に視聴者からのクレームが殺到した。
裏番組に「渡る世間は鬼ばかり」(TBS)が放送されているのにも関わらず平均視聴率は15%前後、最終回視聴率は17.7%(瞬間最高視聴率は23.2%)を記録し、数回「渡鬼」の視聴率を上回った(ドラマでは初めて)。また、ラストは原作とは異なる。

ストーリー
銀行員・原口元子は勤務先の銀行から1億2000万円を横領する。
元子は架空名義預金者のリストが記された黒革の手帖と引き換えに、
銀行に横領を不問に付させることに成功する。
やがて、銀座の老舗クラブ「燭台」のママ・岩村叡子のもとで銀座での生き方のイロハを学んだ元子は横領した金を元手に、銀座に「カルネ」(仏:carnet 手帖)という名のクラブを開く。

カルネには、男に捨てられ、途方にくれているところを元子が拾った、
山田波子などをホステスとして加え、カルネの経営は順調な滑り出しを見せる。
しかし、波子はカルネの常連客の楢林譲治と深い仲になり、楢林から金を引き出して、
「カルネと同じビルに自分も店を出す」と言い出す。
波子の裏切りに激怒した元子は、写しをとっておいた黒革の手帖を使って、楢林から大金をゆすりとる。そのため、楢林から波子への援助は停止され、波子の開店計画はご破算になる。

波子の放逐に成功した元子は、銀座一の名店「ロダン」が売りに出されていることを知り、ロダン買収のために、新たなターゲットを探し始める。
そのころ、カルネには陰のある代議士秘書・安島富夫が顔を出すようになる。
男に依存し、挙句の果てに捨てられた母の姿を見て育った元子は、
どの男にも頼らず生きていこうと決意していたが、安島に惹かれて行く。

元子の噂は銀座中にとどろき、その噂を聞きつけて、総会屋の長谷川庄司もカルネに顔を出す。
そこで、元子と安島が惹かれあっていることを知った長谷川は、
元子に安島に近づかないよう警告する。安島への恋を忘れ、ロダン買収に邁進する元子だったが、
長谷川は元子に周到な罠を仕掛けていた……。

スタッフ
脚本:神山由美子
演出:松田秀知,藤田明二
プロデューサー:内山聖子,中山和記

キャスト
原口元子:米倉涼子
クラブ「カルネ」のママ。冴えない銀行員だったが、黒革の手帖の存在を知って、大金の横領を決意し、銀座にクラブを開店する。銀座でのしあがるべく策略をめぐらす。
安島富夫:仲村トオル
代議士秘書。長谷川の後援を得て、政界進出をもくろんでいる。元子と恋に落ちるが、スキャンダルを嫌う長谷川に交際を禁止され、恋と野心の狭間で悩む。
山田波子:釈由美子
クラブ「カルネ」のホステス。元子に拾われた恩を忘れて、元子に反旗を翻す。独立が失敗した後も、元子に復讐する機会をねらっている。
中岡市子:室井滋
楢林美容外科クリニック婦長。楢林の愛人。自分を捨て、波子に走った楢林に復讐するため、元子に協力するが、自分もまた元子に利用されていたことに気づき、楢林のもとに帰っていく。
村井亨:渡辺いっけい
元子が勤めていた銀行の支店次長。元子の横領のために、銀行を辞めるはめになり、その後は長谷川のもとで働きながら、元子に復讐する機会をうかがっている。
紺野澄江:吉岡美穂
クラブ「カルネ」のホステス。元子に憧れて、カルネに入店する。元子に頼まれ、橋田を篭絡する。
櫻井曜子:紫吹淳(宝塚退団後初のドラマ出演)
元子の行きつけの美容院の店長。タロット占いで元子の運命を占い、有益なアドバイスをおこなう。
岩村叡子:山本陽子
老舗クラブ「燭台」のママ。銀座ではご意見番的存在で、元子の師匠ともいうべき人物。元子に「分相応」な生き方をするよう忠告する。かつては長谷川の愛人だった。
橋田常雄:柳葉敏郎
橋田医科進学ゼミナール理事長。元子に惚れ、元子を自分のものにしようとするが、逆に弱みを握られ、ゆすられる。そのため、元子に激しい怒りを感じている。
長谷川庄司:津川雅彦
総会屋。政財界に隠然たる影響力を持つ。安島に期待し、安島を一人前の政治家に育てようとしている。一方、元子にも興味を持ち、元子を手にいれようとする。
楢林謙治:小林稔侍
楢林美容外科クリニック院長。高名な美容外科医。大の女好きで、波子にいれあげ、波子に店を持たせようとする。

2005年版
前年に放送されたテレビドラマの好評により、土曜ワイド劇場・特別企画と冠して「黒革の手帖スペシャル~白い闇」の題名で、テレビ朝日系で、7月2日放送された。松本の「白い闇」を黒革の手帖風にアレンジしたようなもので、「黒革の―」とは全く関係ない。また白い闇は過去に1度TBS・日曜劇場で放送されたことがある(吉永小百合主演)。
主演は、前年と同じく米倉涼子。松本清張の短編小説「白い闇」を下敷きに、銀座を追われ、復権を目指す元子に接近する大手ホテルチェーンの社長兄弟との愛憎劇を描く。視聴率は関東で16.4%、関西で18.8%と高く、ドラマの人気が相変わらず高いことを立証した。


ストーリー
山田波子の告発によって、銀座を追われた原口元子は、京都のクラブ「千扇」のママをつとめながら、
復権の機会をうかがっていた。
大手ホテルチェーンの尾崎ホテルチェーンの社長・尾崎清一に目をつけた元子は、
株主総会に出席し、清一の不正を糾弾する。元子に興味を持った清一は、元子に接近し、
その度量に惚れる。
そして、清一は元子に求婚し、元子を婚約者として周囲に紹介するのだった。
やがて、清一は仕事のために、東北へ旅立つが、そこで行方不明になってしまう。
清一の腹違いの弟である高瀬俊吉から、十和田湖の近くに清一の愛人の田所常子が住んでいることを聞き出した元子は早速、常子を訪ねるが、常子は「清一さんを返して!」と泣きじゃくるばかりで、らちがあかず、元子は腹をたてて、常子のもとを去る。
しかし、その直後、常子の死体が十和田湖で発見され、地元の警察は元子に疑いの目を向ける。警察署に連行された元子に対して、警察官・北見和行は元子の旧悪をまくしたてて、元子を追及していく。
そのころ、京都では俊吉が尾関ホテルの経営権を手にいれていた。
そして、俊吉は、釈放され京都に戻った元子に接近し・・・。

スタッフ
脚本:両沢和幸

キャスト
原口元子:米倉涼子
クラブ「千扇」のママ。かつては銀座一のクラブを経営していたこともあり、銀座に帰る機会をうかがっている。銀座へ凱旋するための足がかりとして尾崎清一に目をつけるが・・・。
尾崎清一:豊原功補
尾崎ホテルチェーン社長。野心家で、一代でホテルチェーンを築き上げた父親に対抗するため、元子の度量を手にいれようとする。足が不自由。
高瀬俊吉:岡本健一
清一の腹違いの弟。清一の運転手をつとめる。兄の清一に対しては複雑な感情を抱いている。
兄の失踪後、ホテルの経営権を掌中におさめる。
尾崎孝次郎:田村高廣
尾崎ホテルチェーン総帥。長谷川庄司とは親友で、政財界に隠然とした影響力を持つ。かつては、クラブ「カルネ」の常連だった。
田所常子:小沢真珠
清一の愛人。恋愛にのめりこむと見境がつかなくなるところがある。元子に清一を返してくれるよう懇願するが・・・。
白木淳三:吹越満
常子の兄。常子が死んだ真相を探るべく動き回り、元子の周囲にもたびたび出没する。
北見和行:西村雅彦
青森県警警部。常子殺害の容疑者として、元子を追及し、捜査の過程で、元子の旧悪を暴いていく。

記録
2004年版
初回と最終回の視聴率が裏番組の「渡る世間は鬼ばかり」の視聴率を上回る。
(ちなみにこの枠の連続ドラマが渡る世間は鬼ばかりの視聴率を超えたのは初めての事であった。)
初回視聴率はこの枠の中では「歴代4位」の高視聴率。

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