黒人

ネグロイド (Negroid) は、人種のひとつ。黒人、黒色人種などとも言われる。スペイン語のnegro(ネグロ、黒)に由来するが、英語風にニグロイドともいう。

呼称
アフリカを起源とする肌の黒い人種を指す一般的呼称。米国ではニグロイド(ネグロイドの英語発音)という言い方は差別用語とされ、最も丁寧な呼び方として「アフリカ系(native African)」を使うことがある。例えばアメリカ人であった場合、アフリカン・アメリカン(African American)という。ただし、ネグロイドは元来、人種に対する中立の呼称であり、差別的なニュアンスは主に黒人奴隷を使用していた欧米諸国の社会的要因から派生したものである。ニグロと縮めて呼ぶのは前時代的な語法であり、現在では明らかな差別用語とされている。さらに「ニガー(nigger)」とした場合、その差別的意味は強まる。

米国以外の英語圏では、ブラック・パーソン(複数形はブラック・ピープル)と呼ぶのが社会的、政治的に正しいとされている。これは、アフリカ以外の地域(南アジア、カリブ、太平洋諸島など)にも肌が黒い人種が存在し、彼らを誤って「アフリカ系」と呼んでしまうことを避けるためである。「ブラック」と縮めた場合は、非公式な意味合いが強まる。最近の米国では「アフリカ系」がよく使われるが、米国においても、必ずしも「ブラック」という呼称が差別用語にあたるとは限らない。実際に黒人は自分達のことをブラックと呼ぶことも多く、テレビのニュース番組でも「ブラック」という言葉はしばしば用いられる。ただし、明確な差別用語であるニガーという呼称も、アフリカ系同士の間では、仲間意識を込めた呼びかけとしても使用されることからもわかるように、こうした用語をアフリカ系の人が使用する場合と他人種の人が使用する場合では意味合いや受け取られ方が異なる。白人や黄色人種が用いる際は用いる文脈に考慮し慎重を期さねば差別語的意味を汲み取られる可能性もあることに注意する必要がある。

米国には、数多くの黒人の団体組織があるが、それらの多くが自ら名称に「ブラック」を用いている。また『Black Hair Style』という黒人専門のヘアスタイル情報誌や、『Black Enterprise』といった黒人専門のビジネス雑誌もある。

また同様に米国では黒人地区というものが多くの街で形成されており、治安が悪い場所となっていることが多い(例:ニューヨーク市ブロンクス区など)その他、米国南部(例:アトランタ市など)では奴隷時代の名残から北部に比べると黒人の割合が多く、そのような都市は決まって治安が良くない、という統計が出されることが多い。これは「黒人が犯罪を起こしやすい」のではなく「貧困層に黒人が多い」ことが原因であり、貧困が原因による犯罪が主である。貧しい家に育った人は十分な教育を受けられず、その結果地位のある仕事に就くこともできず満足な収入を得られない、という悪循環が米国都市部黒人地域の治安改善に至らない根底であり、多くの市政が頭を抱える問題でもある。

区分
アジア・環太平洋に見られるオーストラロイド、アジア・環太平洋・南北アメリカ大陸などに見られるモンゴロイド(黄色人種)、ヨーロッパ・北アフリカ・西アジア・南アジアなどに見られるコーカソイド(白色人種)とネグロイドを4大人種という。

オーストラリアのアボリジニなど、オセアニアに住む人々は、その肌の黒さから黒人と思われることも多いが、アボリジニ、メラネシアンはオーストラロイドとされ、ポリネシアン、ミクロネシアンはモンゴロイド(黄色人種)であるとされる。

インド亜大陸のアーリア人系の住民も同じく肌の色から黒人だと思われる場合があるが、彼らの場合はコーカソイド(白色人種)に分類される。それとは対照的にインド亜大陸にアーリア系諸族が侵入する前にインダス文明を築いていたドラヴィダ人系の諸族は、アーリア系とは大きく異なる人種的条件を持ち、肌の色は非常に濃い黒褐色なので、ネグロイドに属するとされる。しかし彼らは、地中海沿岸から西アジアにかけての地域に起源を持つ集団であるので、アフリカ中南部に起源を持つ他のネグロイドとは無関係な人種である。

元はアフリカ大陸中南部を中心に分布していた。古来、ネグロイドと中東の商人の間でネグロイドの奴隷売買がなされてきたが、大航海時代となりアフリカ交易に欧州人が加わると、その量も飛躍的に増え、結果南北アメリカ大陸やヨーロッパなどに広く分布するようになった。

尚、黒人の中でも肌の色に違いはあり、より黒い人と茶色の人がいる。手の平、足の裏などは基本的茶色で他の部分の肌の色に比べると色が薄い人が大半である。体格は黄色人種に比べると白人同様大柄な人が多く、頭部が比較的小さく手足が長い。白人のように鼻は尖がっておらず、白人ほど彫りは深くない。目は茶色(黒)が主で多くの人が二重、また唇が厚い人が多いとされる。ストレートの髪を持つものは少なくカールしている。また茶色の肌を持っている黒人を白人(特にヒスパニック系、中東系の白人など)と見た目で区別するのは難しい。

より細かい区分
ネグロイドをコンゴイドとカポイドの二人種にわけ、これとモンゴロイド、コーカソイド、オーストラロイドを合わせて5大人種とすることもある。コンゴイドとカポイドは身体的特徴だけでなく、言語及び(欧米化以前の)生活様式によっても区分できる。

コンゴイドはニジェール・コルドファン語族やナイル・サハラ語族の言語を話し、農耕牧畜生活を送っていた(もしくは現在も送っている)。
カポイドはコイサン語族の言語を話し、狩猟採集生活を送っていた(もしくは現在も送っている)。

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